REPORT 8月10日掲載

きっかけは箱根駅伝の応援 . . .  放送界のレジェンド、徳光和夫さんに念願のインタビュー

日本テレビの元エース・アナウンサーで現在もフリーとして何本ものレギュラー番組を持つ徳光和夫さん(S38年卒)。徳光さんが巨人軍の長嶋茂雄さん(S33年卒、現・巨人軍終身名誉監督)にあこがれて立教に入ったことは有名だが、徳光さんにあこがれてメディア界に飛び込んだ立教の後輩たちも多いのではないだろうか。私もその一人である。いつか徳光さんの記事を書きたいと願っていたが、2024年6月、ついにそれが実現。記事はその翌月、夕刊フジ別冊「健活手帖」に3ページ特集で掲載された。

 

●駅伝後、茅ケ崎市でアプローチ

インタビュー実現のきっかけは、立教時代の同期、平田誠一君から「一緒に箱根駅伝の応援に行かないか」と誘われたことだった。私は東京の郊外に住むが、平田君が茅ケ崎市に在住のため、2024年1月3日、復路の8区の応援となった。

平田君の情報では「徳光さんが応援に来るかもしれない」とのこと。8区の茅ケ崎市の沿道に立教ののぼりが何本も立つ中、江戸紫のタスキをかけた稲塚大祐選手が颯爽と駆け抜けた。湘南立教会のメンバーたちの声援が届いたのか、稲塚君は15位から14位に順位を上げ、そのまま立教は14位でゴールし、前年の18位から4つ順位を上げた。

応援を終えて、茅ヶ崎駅への途次、湘南立教会の立ち寄り所として開放されていたペットショップ「バウワウ」(S40年卒の相良さん経営)の前を通ると、情報通り、あこがれの人、徳光さんの姿が見え、心が躍った。徳光さんは気さくに、立教関係者らの依頼に応じて代わる代わるスマホの写真に収まっていた。ここで私は、徳光さんに駆け寄った。

 

以下は徳光さんとのやりとりである。

― 立教の後輩で産経新聞を退職した者です。いまはフリーの記者をしていますが、医療・健康をテーマに徳光さんを取材させていただきたいのですが…。

徳光さん 「産経新聞を何で退職したの?

― 定年で退職しました。

徳光さん 「定年ですか。そのような年齢に見えませんね。取材は会社を通していただければ大丈夫です。」

初対面でしかもアポなしの立ち話の場面で、当方の身分を即座に理解して「何で退職したの?」と聞き返すところに誠実な人柄を感じた。立教のつながりがあるにせよ、見ず知らずのフリーの記者の依頼なんて、聞き流すこともできたはずだ。相手への思いやり、そこに長年、放送界で活躍する徳光さんの真骨頂を見た思いだった。

 

●総会で再度アプローチ

湘南立教会の定期総会に出ないか-。冒頭の平田君から今度は総会への誘いである。山﨑久美幹事長とやりとりして、気がつけば、東京在住ながら越境で湘南立教会に正式に入会していた。小雨が降る3月24日、藤沢市の定期総会の会場に赴くと、各テーブルを会員たちが囲み、出席者数は100人を超えていた。これまで転勤のたびにその地域の立教会に入れてもらっていたが、こんな大規模で熱気がある立教会は初めてであった。

 総会では芳賀孝志会長の仕切りのもと、来賓に西原廉太総長、福田裕昭理事長らも参列。一番盛り上がったのが徳光さんのスピーチの場面。イタリアンの店でカルボナーラという言葉が思い出せず、ボラギノールと言ってしまったというエピソードを披露すると、会場に大爆笑が起こった。席から転げ落ちるように笑う会員もいた。このスピーチの後、私は徳光さんに再度、取材のアプローチをし、ここでも快諾をいただいた。

 

●半年越しの取材実現

健活手帖の取材は今年6月に東京・大手町の産経新聞東京本社で行われた。1月の箱根駅伝から半年が経過していた。徳光さんは律義に、立教の後輩との約束を果たしてくれた。記事では湘南立教会の総会に触れつつ、徳光さんが60歳の時に心筋梗塞を発症し、「放送人として終わったかもしれない」(本人談)との大ピンチを取り上げた。しかし、そこから奇跡が起き、再び、放送界で活躍できるようになったエピソードを紹介した。

 

●立教の環境が育てたその人柄

その心筋梗塞から十数年が経過。現在、83歳の徳光さんは「名曲にっぽん」(金曜夜)、「とくモリ!歌謡サタデー」(土曜早朝)、「路線バスで寄り道の旅」(日曜午後)とテレビ・ラジオで自身の名前がついた冠番組をいくつも担当。「プロ野球 レジェン堂」(火曜日夜)という番組では野球界の名選手と絶妙な掛け合いを演じている。

視聴者やリスナー、さらに出演者を惹きつけるのは、ほのぼのとした人柄だ。時計塔をシンボルに都会の大学ながら緑の多い立教の心を癒すような環境も、この人柄の醸成に大きく関係しているのではないか。歌謡番組、旅番組、そして野球番組の司会で活躍する徳光さん。放送界のレジェンドとは徳光さんを指すのではないだろうか。同じ学び舎で学んだ湘南立教会の会員として誇らしい限りだ。

 

大家俊夫(おおか・としお)

S57、経済―経済卒。元産経新聞編集委員・中東支局長、元科学技術振興機構編集長。湘南立教会新会員。医療・健康問題で取材、講演活動を展開中。

toshio20150111@gmail.com